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僕と影 17 浩side

「和っ!!」 遠くからドタドタと走ってくる音が聞こえて、勢いよく襖が開くと共にそんな大きい声がして。かと思うと凄まじいスピードで、目の前の和が視界から消えた。 「わっ…!」 「かず〜〜〜、和だぁああ…。」 「か、開生…!?おもいっ…。」 開生が和に飛び付いた衝撃で、2人して倒れたのだ。重そうに身をよじる和に構わず、開生は和の腰にしがみついて、子どものようにわんわん泣いていた。 「よかったぁぁっ…、ほんとにっ、心配っ、したんだぞ…!」 「な、泣きすぎだよ…っ。」 冗談っぽくいつもの口調で開生にそう言う和も、少し涙目だ。服が濡れるだの、泣いてないだのと、じゃれ合っていて微笑ましい。 「開生ー、そろそろ離してやらないと和が潰れるぞ。」 「あっ、わ、ごめん!怪我してるんだよなっ、痛くなかった?」 「うん。平気だよ。」 「開生は本当に和の事心配して、和を助けるのも手伝ってくれたんだよな。」 「そうなんだ…。これで開生に助けてもらうのは2回目だね。」 「はは…、今回は俺だけじゃ、どうしようもなくて…、浩さん達がいなかったらって思うと…。けど、本当に良かった。俺だけじゃなくて学校の奴らも心配してる。学校には、えっと…。」 そう言って、ちらりとこちらを見る開生。俺が頷くと、また視線を和に戻して。 「学校には、この事は言ってなくて、体調崩して入院してるって事になってる。」 「そっか…。」 「みんな和に会いたがってる。また、学校で元気な顔見せてやろうな。」 「うん。かいせ…ありがとう。」 ほら、お前は皆んなに愛されてる。心配しなくても、和は1人じゃない。 開生の腕の中で静かに泣く和を見て思う。少しは伝わったかな、と。 そう簡単に日常生活に戻れるかは分からない。歩けるようにリハビリもしなくてはいけないし、基礎体力もつけなくてはいけない。それから、クスリに関しては、依存性とずっと闘っていかなければいけないだろう。やるべき事はたくさんある。どれもゆっくりでいい。 俺が側で見守ってやるから。 きっと、みんなと同じように普通の生活を送って、遠慮せずに毎日が楽しいと思える日が来ると信じて。 そして、いつかまた、手を取り合える時がくる事を願って────。

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