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僕と影 18

──── ─── 「浩、浩……起きて?」 「……ん、」 朝食を作り終えて、中々起きてこない浩の様子を見に寝室のドアを開けると、シーツに包まる山が見えた。 さっき、一緒に起きたはずなのに…。 少しだけもぞもぞと動いてから、また聞こえてくる寝息に愛おしさを感じて、ふ、と口元が緩む。心地よさそうに眠る彼を見るともう少し寝かせてあげたいけれど、今日はそういう訳にはいかない。 「朝ごはん出来てるから、食べて…。ね、浩…。」 「んん…、あともう少し。」 耳元でそう告げて、体をゆさゆさ揺すった。すると、寝起きとは思えない力で腕を引っ張られ、僕は体制を崩しシーツの中に引き込まれた。 「もう…、ダメ…。」 再び僕を抱き締めたまま目を瞑ろうとする、そんな浩の鼻をつまむ。息苦しくなった浩は、ぱちりと目を開けて。目が合った。 そう、今日はダメなのだ。丸一日、僕の休日と、浩の休日が揃った日。だから、約束していたあの場所に行くんだ…。 「ね、起きて?ご飯食べて、準備、しよ…?」 そう言ってどちらからともなく、唇を合わせたら、浩は僕の頭を撫でて、 「おはよう。」 と微笑むのだった。

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