94 / 100
僕と影 18
────
───
「浩、浩……起きて?」
「……ん、」
朝食を作り終えて、中々起きてこない浩の様子を見に寝室のドアを開けると、シーツに包まる山が見えた。
さっき、一緒に起きたはずなのに…。
少しだけもぞもぞと動いてから、また聞こえてくる寝息に愛おしさを感じて、ふ、と口元が緩む。心地よさそうに眠る彼を見るともう少し寝かせてあげたいけれど、今日はそういう訳にはいかない。
「朝ごはん出来てるから、食べて…。ね、浩…。」
「んん…、あともう少し。」
耳元でそう告げて、体をゆさゆさ揺すった。すると、寝起きとは思えない力で腕を引っ張られ、僕は体制を崩しシーツの中に引き込まれた。
「もう…、ダメ…。」
再び僕を抱き締めたまま目を瞑ろうとする、そんな浩の鼻をつまむ。息苦しくなった浩は、ぱちりと目を開けて。目が合った。
そう、今日はダメなのだ。丸一日、僕の休日と、浩の休日が揃った日。だから、約束していたあの場所に行くんだ…。
「ね、起きて?ご飯食べて、準備、しよ…?」
そう言ってどちらからともなく、唇を合わせたら、浩は僕の頭を撫でて、
「おはよう。」
と微笑むのだった。
ともだちにシェアしよう!