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僕と影 20
「母さん…。」
ゆっくりと時間をかけて自分の足で母さんの墓石の前に辿り着いた。久しぶりに見ても、それは立派でとても綺麗で…まるであの時みた写真の中の母を映し出しているようだった。
活けられた瑞々しい花が最近ここに人が来たことを物語っていて、僕は安心感からか自然と笑みを零した。
「久しぶりだね…。」
墓石を撫でて、母さんに語りかける。
すると浩は僕の背中をぽんぽんと優しく叩いてから、手桶を借りに行くと言ってその場を離れた。
親子2人きりの時間。冬独特の乾燥した風がサァァと通り抜けた。さて、何から話をしようかな。伝えたい事はたくさんある。でも時間もたくさんあって、こうやって静かな時を楽しむのもいい。
「……ぁ、」
砂利を踏む音と共にそんな声が微かに聞こえてくる。さっと振り向いて見えた人物に僕は目を見開いた。
相手も同じように驚いたみたいで、少しの間、沈黙が走る。
あの時の光景を思い出す。ちょうど今と同じ様な…。違うところは…、その男が以前より健康的な顔つきをしているところだろうか。
「和くん…。」
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