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第6話
俺がテレビをつけたこのタイミングで、おっぱじめている男女の図はあまりにも刺激が強くて。
驚いた拍子に手に持っていたリモコンをベッドサイドに落としてしまった俺は、慌ててリモコンを拾い上げて消音に切り替えた。
本当は、今すぐに映像までも消し去った方がいいことは理解しているつもりなんだけれど。
「…すっげぇ、エロい」
一度目に入れてしまった生々しい光景を、有料チャンネルが無料で見放題のこのチャンスをっ!!
このまま何事もなかったかのように消し去ってしまうのは、勿体ない気がして。
…AV、観ててもいいかなぁ。
ちょっとだけ、少しだけならバレない、よな?
普段の俺なら絶対に思わないようなことを考え、今の俺の全ての行動は酒の所為だと思うことにして。リョウさんがバスルームにいることを横目で確認しつつも、俺は音のないAVを観ることに必死になっていく。
「いいなぁ、俺もシてぇなぁ…」
なんとも気持ち良さそうな表情で、男性を受け入れ快楽に染まる女の子。俺は実際に女の子と性行為をしたことがないから、女優さんの中に沈む男優の気持ちは分からない。
分からない、けれど。
「…ヤバい、かも」
自慰行為くらいは俺だってしたことがあるのだから、観る物を観てたら俺の息子は反応するし、俺の右手は勝手に動いてしまっていて。
「っ、はぁ…」
…ヤバい、かも。
ではなく、俺は本当にヤバい状態になっていることを自分自身で自覚し、スラックスの中に知らぬ間に突っ込んでいたらしい右手を止めようと格闘する。
「や、め…っ、ヤバ…」
でも、でも、でも、でもっ!!
人がいると思うと、やっちゃダメだと思うと。
思えば思うほどに体温が上昇して動く右手を抑えきれない俺は、目の前のAVを観ることよりもこの異様な状況に興奮していた。
リョウさんと連絡を取り合うようになってから、俺の心は安定していたのか自慰行為自体も俺にとってはかなり久しぶりで。
つい数時間前に会ったばかりのリョウさんがすぐそこにいると思うと、憧れの人の側でこんなことをしていると思うと。
今まで抑えに抑えていた性欲が、体中から一気に溢れ出してしまう。
「…ン、ぁ…イ、きそ」
ゆるゆると上下運動を繰り返していた手に力を加え、漏れる吐息に本音を零した俺だったけれど。
「楽しんでいるみたいで何よりだよ、タク」
バスルームにいたはずのリョウさんが、シャワーを浴びていたはずのリョウさんが…バスローブに身を包み部屋の壁に凭れ、俺を見つめそう言って笑ったのだ。
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