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1-8 課長さんは気苦労が絶えない!
ナナメを肩に担いだまま玄関に向かう。
「…ねとらん……」
ぼそりとナナメが呟いた。
「いや寝てるだろ」
ツッコミを入れると、ねーてなーい!とナナメは暴れる。
「おい、暴れんなって」
ヨコは彼をお姫様抱っこのように持ち替えた。
ナナメはうっすら瞳を開け、夢と現実の間を彷徨っているようだった。
顔は真っ赤になり目は座っている。
「ものあつかいしとるじゃろ…」
「はぁ?」
「ななめさんは……びしょうじょせんしです…」
意味不明なことを言いながらナナメはぎゅっとヨコの首に抱きついた。
「めんどくせえ…」
ヨコは呆れてため息をついた。
「美少女戦士とかめっちゃそれっぽい」
袖野は何故かウケていて
お前の方が美少女戦士だろう。女子力(物理)が溢れているぞ、
と心の中でツッコミを入れた。
「あ、あの~…」
不意に呼び止められ、ヨコは振り返った。
そこにはミナミが立っていた。
彼は何故か珍しくおどおどしている。
ヨコはしまった、と目を見開く。
呼び付けていた事を忘れていたのだ。
今傍らには美少女戦士チャイナ(♂)がいて、
さらに美少女戦士泥酔(30)をお姫様抱っこしているという
明らかに異様な光景である。
「み…ミナミこれはだな…」
「遅れてすみませんでしたァ!!!」
ミナミはいきなり叫びその場で土下座をし始める。
3人目の美少女戦士ボンクラ土下座が現れ
ヨコは、そうかこいつはミナミだった、ということを思い出し
頭痛を感じるのであった。
「次はミスりませんのでご勘弁を…!」
「…いやもういいからご近所迷惑だろ、ヤメナサイ」
ヨコの言葉にミナミは顔をあげパァッと笑顔を浮かべた。
「えーと袖野さん申し訳ないですけど
そいつから資料を受け取ってもらえるとありがたいんですが…
両手が塞がっているので…」
さっきからぎゅううとやたら強い力で首に抱き着かれているのでそろそろ死にそうである。
今はチャイナボーイの手も借りたい程だった為傍らにいた袖野にお願いした。
「真壁さんの会社の人?
いやこれには深い訳があるんで気にしないで欲しいんやけど…」
袖野はミナミに近付き苦笑した。
ミナミはぼけっと袖野を見上げる。
「まあそうやな…そうなるわな…」
「…可愛いっすね」
「ハハハそりゃどーも…」
ガン見しているミナミに、余計なこと言うなよと念を飛ばしながらも
この異様な変態集団はご近所に見られたらどう思われるかなどと考えると
誰に申し訳なく感じていいのかいよいよと分からなくなり
ヨコは思考を放棄するのであった。
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