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1-14 ファンファンデートデート!

そして当日。 ミナミは遠足前のようにうかれすぎて 寝付けずいつもより早起きしてしまった。 新調した勝負服に身を包み 1時間も早く待ち合わせ場所につき、袖野を待った。 彼女はどんな格好でくるだろうか。 頭の中で彼女を着せ前人形にして妄想する映像は、 一般的健全男子には吐き気を催すモザイク映像なのだがミナミにとってはパラダイスであった。 「…お兄さん今暇?」 待ち合わせ場所である駅前の本屋前に立っていると サングラスをかけた金髪の男に声をかけられた。 ミナミは妄想から現実へとなかなか戻れず、だらしない笑顔で男を見上げた。 「いや待ち合わせなんすよー」 「へえデート?」 ずばり当てられミナミは、えっへへと頭を掻いた。 「お兄さんモテるでしょう」 「いやーそんなことないっすよ。マジ必死ですからね」 「そういう感じが女性にはウケるんだよ~」 「そっすかねえ」 全く知らない相手だったが今はとても機嫌がいいし、褒められて悪い気はしなかった。 男はだんだんミナミに近寄ってきて気付けば壁ドン体制になっていたが ミナミはフレンドリーな人だな程度にしか思っていなかったのだった。 「お兄さんに1人の女性は勿体無いと思うな~ その気になれば4、5人手玉にとれるよ」 「いやいやそんな、オレこう見えて一途ですし」 「勿体無いなあ、でも興味はあるんじゃない? どうかな、今から女の子たちと会うんだけど…」 男にぐぐっと顔を近付けられようやく近いなぁと顔を上げた瞬間 男は後ろを振り返った。 「こんにちは。昼間っからお盛んですねえ」 男の後ろにはスーツ姿の背の高い男が立っていた。 にこにこと微笑んでいるが手はガッシリと男の肩を掴んでいる。

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