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1-16 ファンファンデートデート!

袖野は絶望の表情のミナミを見ては ため息を零し目を合わせるように身体を曲げた。 「ごめんなあ。中身こんなおっさんで」 そう言って袖野は本当に申し訳なさそうな笑みを浮かべてミナミの頭を撫でた。 頭を撫でられながらミナミは思った。 でもよく考えればあの時恋に落ちたのも本当だし メールでお話するのが楽しかったのも本当だ。 チャイナさんが目の前のお兄さんなら、 オレはお兄さんのことが好きってことで何も変わらないのではないだろうか、と。 「どーする?帰る?」 優しく問われミナミは首を横に振った。 帰るわけがない。 だって好きな人とデートするってことになんら変わりはないのだ。 ただでさえボンクラな脳は 桃色の恋愛劇に常識を激しく欠如させ、 ミナミのご機嫌は見事に回復した。 「いえ!オレとデートしてくださいっ」 ミナミは改めてお願いすると袖野はまた愉快そうに笑った。 袖野的には"じゃあお友達で"というような切り返しをしたのだと思っているが 現実はかなり常識から逸脱していた。 「お詫びになんか奢るわ。 仕事がアレでこんな色気のない格好やし」 袖野はそう言ってスマートにミナミをエスコートして歩き出す。 ミナミは惚れ直した。 かっこいい。 しかも良い人だ。 好きな人がかっこよくて良い人で、って最高じゃん! ミナミのうかれゲージはMAXになりつつあった。

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