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1-18 関係ない!
「はぁぁぁ…だっるう」
袖野は駅のホームで電車を待ちながら深い溜息を零した。
コミック雑誌ほどではないにせよ編集という仕事は過酷であった。
出版業界はただでさえ時間に追われているのはもちろんだし、小説家は厄介な人が多い。
さらに官能小説となると厄介が服を着て歩いているような、
むしろ服くらい着ろというような癖のある人物ばかりだった。
袖野は今3人の作家を担当しているものの、
かつて担当していた雪雛玲一郎や會下詠慈に比べれば可愛いものではあるのだが。
担当している五虎七瀬が超大注目作家になって以降、
何故だか急に作家担当以外の仕事が増え始め、
中間管理職なんかに任命されたらどうしようとヒヤヒヤする日々だ。
そんなこんなで昨日も残業をしたのに今日は会議があるため寝坊は許されず
まだ寝たいと叫ぶ身体を引き摺って出社をする。
電車がホームに入ってきた。
時間が時間なだけに結構混んでいる。
この電車には自分と同じような疲れた人間達が
ぎゅうぎゅうに詰まっているのかと思うとため息が出て仕方がない。
電車になんとか乗り込むと扉が閉まり電車は動き出す。
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