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1-20 関係ない!
触っていた。
がっつりと、ミナミの尻をおっさんは揉みしだいていた。
「ちょ…ちょお、おっさん…?」
袖野は思わず男の腕を掴んでしまっていた。
男はびくりと体を震わせこちらを見上げてくる。
ついでにミナミもぼけっと振り返った。
「何朝っぱらから男のケツ撫で回しとんねん…
血迷うにも程はあるで」
袖野はなるべく小声でおっさんに言った。
おっさんはミナミの顔をちらりと見ては顔を赤らめた。
ミナミは袖野を見つけ嬉しそうな顔をしている。
「こ…好みの顔なんだ…」
「いや知らんし」
袖野は溜息をついた。
ミナミは男らしい顔というわけではないが女らしい顔というわけでもない。
頑張っても中村蒼とかを地味にした顔といったところでつまり普通である。
まあ好みは人それぞれではあるのだが…。
「恋に男とか関係ない!!」
男はいきなり大きな声を出した。
袖野はびっくりして目を見開く。
乗客の何人かもこちらを振り返ってきた。
こんな堂々と愛を…
このおっさんえらいかっこいいやん…。
「…いやでも恋とか以前に普通に犯罪やで…」
ツッコミを入れていると電車は駅へと止まり男は走って逃げて行ってしまった。
あっ、と声を零した頃には人混みに紛れ男の姿はなかった。
仕方ないので袖野はミナミを振り返る。
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