22 / 92

1-21 関係ない!

「袖野さん…!き、奇遇ですね!」 ミナミは嬉しそうに声をかけてくる。 「大丈夫か?ミナミくん」 元気そうではあるが一応気遣ってやった。 空元気かもしれないし。 朝からショッキングすぎて袖野は既にブルーだった。 「ハイ!また助けてもらっちゃいましたね… ありがとうございます」 ミナミはぺこりと頭を下げた。 「それはいいんやけど…ああいう時はちゃんと逃げなあかんよ?」 「すみません…透明人間走らせんのに夢中になってて」 「は?」 「やりません? 電車とかめっちゃ早いから景色の中走らせんの」 楽しくないですかーとミナミは無邪気に笑った。 え、でもケツ撫でられてるんよ? むしろ撫でられるというより掴まれてたよ? 透明人間優先なの? 袖野は彼の超宇宙的思考に追いつかず混乱した。 「ミナミくんはもうちょっと危機感を持ったらどうかナ…?」 おそるおそる進言してやると ミナミは不思議そうな顔をしたがやがて困ったように笑った。 「はぁ…でも、袖野さんに会えてラッキーっす」 ミナミは頬を染めて、へへ、と笑った。 その高校生みたいな初々しい笑顔に袖野は思わずキュンときてしまったが 落ち着け…!血迷ったらあかん!と呪文を唱えるのだった。

ともだちにシェアしよう!