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1-22 関係ない!

暫く無視していたのだが、 ミナミからの絵文字大爆発のメッセージも面白味を帯びてきて 袖野は少しずつまたメールを返すようになっていたし、 飯を食べに行ったりも普通にするようになった。 彼が持っているらしい恋愛的な感情を抜きにすれば 面白いし気のいい子である。 彼の上司で五虎七瀬の恋人である真壁ヨコからの情報によると 巻き込まれ体質でデンジャラスな生活を送っているが ボンクラ故に気付いていない、らしい。 確かにあの電車の一件から見てもそのようだ。 最初はおいおい大丈夫かよという感じであったが なんだか段々放っておけないような気さえしてきている。 気になっていたラーメン屋に一緒に行った帰り、並んで歩きながらも とはいえ普通にしていれば普通に仲の良い友達って感じで 悪くはないんだけどなぁなどと思ったりもする。 「どーやったら袖野さんみたいに背高くなるんすかねえ」 ミナミは自分の額に水平に伸ばした片手をつけながらも袖野を見上げてくる。 「さあなぁ。でもミナミくんはもう伸びるの無理カナ?」 「えー?そうかなぁ」 「それに背高くてもあんまいいこと無いというか…よくぶつけるしな」 先程行った店でもドアの上にぶつけそうになった所だ。 「ふうん。目線が高いと心が広くなりそうじゃないっすか」 「どういう理屈?」 「世界を広く観れるから」 ミナミのよくわからない理論に笑ってしまう。 一体彼の目には世界はどんな風に映っているというのだろう。

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