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1-23 関係ない!

自分は人よりも、世間的に見ればかなり奇抜な人種と付き合っている方だという自覚はあったが そんな中でも彼は今までに出会ったことのないタイプの人間だとは感じていた。 それは単純に面白いし、あまりにも凄い視点で物事を見ているので 単純に尊敬できる時もある。 そんな突飛な思考の男なのに、一緒にいて妙に心地よく感じてしまうし こんな風に駅までの道を並んで歩いているのも、悪く無いという気分にもなる。 しかし…。 「…ん?」 暗くなった世界の中、 街灯に照らされている公園の横を通り過ぎようとした時だった。 2人の目の前に公園の繁みから何者かが現れ進行方向に仁王立ちしている。 黒いロングコートを纏い帽子を根深く被った男。 めちゃくちゃ嫌な予感がすると同時に男はコートを素早く開き 筆舌尽くしがたい光景がコートの下に待っていた。 「み、みて!」 メタボリックな体型に、女性用の下着らしきものを食い込ませた絵にもかけぬお姿に 袖野は叫び声を上げた。 「いやぁぁぁ!!!!?!?」 「あ、ねこだ袖野さんみてくださいねこですよ」 一方ミナミは公園の方を見つめ全然関係無いことを言い始める。 「ミナミくん…!?」 「ねこかわいいなぁ。オレ猫カフェに住みたいですもん」 「今それどころじゃ…」 明らかにねこより希少なお客様がいるというのに、 ミナミは頬を緩ませて公園にいるらしいねこを見つめている。 恐ろしいほどのスルースキル。 それとも本当にハイパーボンクラなのか。 「みて…!」 だんだん近付いてくる男の度胸にも脱帽である。 とりあえず身の危険を感じるので袖野は彼の腕を掴んで走り出した。 「おっさん風邪引くでーーー!!!!」

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