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1-41 突撃!隣の緊縛師
ミナミはいつまで経っても泣き止まず離してくれないので、
仕方なく袖野は自分が降りる予定の駅にミナミを連れて降りた。
連れてというより引きずってという方が近いかもしれない。
コアラのように腹回りに抱きついたまま離れないミナミに
周りの目が痛かったのでホームのベンチに座らせるが、
結局服を掴んで離そうとはしなかった。
仕方なく袖野は一緒に座ってやり頭を撫でてやった。
「…ミナミくん?そんなに怖かったんか?」
こういう反応の方がもしかしたら普通なのかもしれないがいつも彼は飄々としていたし
寧ろ気付いてすらいなかったようだったのに。
普段がそうだから余計に心配になる。
ミナミは俯いたままで、泣いているようだった。
「なんか、いつも、平気なんすけど…
今日は袖野さん何してるかなって考えてた時だったんで…
いやだなって気分になって…そしたら…」
涙で震えた声はつっかえつっかえ言葉を紡ぐものだから、袖野は黙っていた。
「そしたら…なんか……へん、になって…」
「…変?」
ミナミの謎の証言に袖野は眉根を寄せた。
恐る恐る顔を上げるミナミは涙で濡れたぐちゃぐちゃの顔を紅潮させ、どことなく目の焦点があっていないようだった。
袖野は嫌な予感がした。
そしてこの状況は端から見ると相当に危うい。
「…よ、よぉ~し、
とりあえずボクんちいこ、な!立てるカナ??」
袖野は無理矢理テンションの高い声を出して立ち上がった。
こちらを見上げてくるミナミは、袖野の服を掴んだまま立ち上がろうとするが
そのまま椅子から落ちて地面にへたり込んでしまう。
「…あ…れ……?」
ミナミは自分の体が言うことを聞かず不思議そうに目を見開く。
袖野は思わず、ああ…、と天を仰ぎかけたが
服を引っ張られているので彼の傍に座らざるをえなかった。
「ええいもう抱えちゃる!」
「ふぁ…っ!?」
袖野はやけくそになって彼を担ぎ上げた。
今日は美少女戦士の衣、チャイナ服を召していないし
相手が胸が半分はみ出た女性じゃないだけまだマシだ。
そう思うことにしたのだった…。
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