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1-46 突撃!隣の緊縛師
夢中になって名前を呼ぶと、
はぁと呆れたようにため息をつかれた。
「何回も呼ばなくても聞こえてるよ」
今、頭の中にあるのは彼のことだけだった。
「まだ足りない?欲しい?」
彼の言葉に身体が反応して、震えている。
身体を締め付ける縄の甘い痛みに脳が沸騰しそうだった。
「北翔さんの顔が、みたいです…」
何故だか切なくて涙が溢れてしまう。
首が痛くなってまたシーツに顔を埋めてはぐすぐすと泣き出してしまうと、背後で溜息をこぼす声が聞こえた。
「仕方ない子だな」
足の拘束だけが解かれ、身体を起こされる。
彼と向かい合う形になり、その顔を正面から見つめると
ただひたすら、好き。という気持ちで胸が詰まって
ますます涙が溢れて行ってしまう。
「きったねー顔」
ふ、と呆れたように。
それでも愛おしげに微笑まれて
頬に伝う液体を指先で拭われる。
本当は抱き着きたかったのだが、腕は未だに後手に縛られているのでそれは叶わない。
「北翔さんが…ほしい…」
細い瞳に見つめられ、また身体が昂ぶっていくのを感じた。
触れている彼の掌に頬を擦り付ける。
その温度が心地良くて、もっと触れてほしくてもどかしくて。
「北翔さん…ほくとさん…」
ひたすら名前を呼び続ける。
彼の指はやがて唇を撫でてくる。
「煩いよ鈕」
そう言いながら、唇を塞がれる。
柔らかな感覚に安心感を覚えて、それでも昂ぶる熱に自分ではどうしようもなくなる。
「ン…、う…」
自ら舌を突き出して彼の舌と絡めていった。
その熱を溶かし合いながら、身体を後ろに倒されていく。
「っ…、ふ…、ほくと、さん…」
唇が離れる。
視線が絡み合って、乱れた呼吸の隙間で尚彼を呼び続けた。
足を開かれ、再び熱く滾った彼の自身が埋め込まれる。
「ッ、あ…っぁ…」
肉体を裂かれる感覚に思わず身体が仰け反ってしまう。
つう、と頬に涙が伝いシーツに落ちていった。
「あれだけイったのに、まだこんなに欲しがって」
呆れたように片眉を上げて笑う彼に、
欲しくて欲しくて切なくなって腰が揺れてしまい始める。
「ほくとさ…、ん…っ、ぁ、あ」
やがて欲望は内部を擦り始め、襲い来る刺激にすぐ昇り詰めてしまいそうで。
快楽を受け止めるのに精一杯で何も出来なくなってしまう。
「ぁ、あ…ッ、ァ、ほ…くとさ、ん…っ」
身体が、自分のものではなく彼のものになっている。
そんな感覚でいっぱいになると、何故だかひどく満たされているような心地がした。
「…ほくとさん……っ」
好き、好き、好き
そんな言葉で、埋め尽くされていく。
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