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1-47 好きなコ

やってしまった。 完全に理性がぶっ飛んでいた。 袖野は玄関に座り込んで頭を抱えた。 ベッドにはミナミがすやすやと寝息を立てていて 一先ず距離を置いたのだ。 「…痴漢助けて強姦してどうすんねん」 全く、本末転倒というか、尚悪いというか…。 10歳以上も離れた年下相手に欲望のまま扱ってしまうとは本当に大人気ない。 こんなに余裕がない状態になってしまうとは思わなかった。 自分の行動が信じられず深くため息を零した。 しかし自覚をせざるを得ないだろう。 必死に理性で留めておいたが、やはり自分は彼のことが好きなのだと。 だがもうこうなってしまっては、例によって嫌われてジエンドだ。 下手したら犯罪になるかもしれない。 「……アホやなぁ…」 もっと早く自覚していれば、妙に常識人ぶるのをやめていればもっと違う伝え方が出来たのだろうか だなんて想像して、苦笑する。 本当に、自分は情けない人間だ。 「…ほく、とさん…?」 不意に声が聞こえ、袖野は慌てて振り返った。 部屋からミナミがこちらを覗いている。 泣き腫らした目をして、身体には縄の跡が赤く残っていた。 「いっ、ミナミくん…!…ええっと…」 言葉を探してウロウロしているとミナミはいつものようにぼけっと口を開いていた。 袖野は思わず床に両手をついた。 「ごめん!ミナミくん…黙ってたんやけどボク、その…」 身体が震えるのを感じたが、もうやってしまった後である。 嫌われるのはわかっている。 だから誠心誠意謝るしかないのだ。 「好きなコは縛りたくなるというか… そういう、つまり変な性癖でして…いや、 だからって許されるとは思ってないので 殴るなり蹴るなり気の済むまでしてもらって構わんから」 土下座のような形になりながら頭を下げた。 早口に捲し立てていると、ミナミもしゃがみ込んで肩に触れてくる。

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