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2-7 野生の変態
緊縛にもいろいろありまして、
とはいえ、縛れれば誰でも良い訳ではなく
自分の欲求が満たされるのは一つだけ。
正直欲求の話だけすれば、相手がそれを喜ぼうが嘆こうがどうでもいいのだが
好きな人には拒絶はされたくないと思うのが人間なのである。
袖野はドSであることをひた隠くしていた為か生のドMに出会ったことはなかったのだが、
ここに来て初めて出会ってしまったらしい。
「……なん、で…?」
おかしい。
おかしすぎる。
怖い。
直感的にそう思うと同時に限りないデジャブに袖野は頭を抱えた。
自分はただ家に帰ろうと会社をでて駅に向かっていただけなのだ。
疲れたなあラーメン食いたいなあとかごく普通のことを考えながら歩いていたら急に物陰から何かが飛び出してきて
また半裸のおっさんかなと思いながらぼんやりしているとそこには女が倒れていた。
倒れていたというより土下座をしていた。
「お願いします…!」
女はそう言って地面に額を擦り付けて泣いているような声を出した。
袖野はようやく思考が追いついてきて
慌てて彼女の傍にしゃがみ込み腕を掴んで起こそうとした。
「ちょちょちょっと、やめて本当にやめて」
泣きたいのはこっちだった。
彼女は顔を上げ、涙をためやや紅潮した表情でこちらをじっと見てくる。
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