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2-8 野生の変態
昼間に魔性の女気取りで去っていた星風ゆりえ。であったのだがまるで別人である。
「私、もう我慢できない…っ袖野さんに苛めて欲しくて欲しくてたまらなくて」
「は!?何言うとんのあんたはっ!
滅多なこと言うもんじゃありません!」
袖野は呆れかえって説教したかったが、
ゆりえにしがみつかれてしまい恐怖心が勝ってしまう。
「お願いっ一度でいいから…詰ってえええ」
「怖い怖い!怖いから!」
道路の真ん中でなんでこんなことをせねばならんのか。
黙っていればとても声をかけられないような美人なのに、彼女は詰ってと泣いている。
なんとも数奇なものである。
「とりあえず落ち着こ?な?
どんな性癖あっても常識は必要やと思うし...」
袖野は錯乱しているような彼女の背を撫でてやった。
「ごめんなさい...私...わたし...っ」
「わかったからとりあえず立と?な?」
ゆりえは、頷きながらも泣きじゃくっている。
これは普通の状態ではないようだ。
一体数時間の間に何があったというのだろう。
面倒なことになったと思いながらも、
いつまでも道路のど真ん中にいるわけにもいかないと袖野は彼女を連れて移動することにした。
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