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2-14 大人あるある
そんな願いも虚しく、上江が帰ってきたのは夕方であった。
相当イライラしている彼の様子から察し、
袖野は日付が変わらないうちに帰れるだけマシだと思う事にした。
2日ぶりの帰宅で多少なりとも浮き足立つのはいたしかたないことで、
鼻歌交じりに帰路をふらふら歩いていると
件のゆりえ土下座事件の道に差し掛かる。
建物と建物の間の、車両は一方通行せねばならない狭い道であり
人通りが少ない場所だったのが幸いだった。
「.......ほくとさん」
不意に声が聞こえた気がして袖野は足を止めた。
思わずあたりを見回してしまうが、そこにその姿はない。
幻聴であろうか。
とうとう疲労と眠気でやられ始めたのかもしれない。
「..ほくとさん...っ、!」
泣いているような声が再び響いた。
今度こそはっきり聞こえる恋人の声は間違えようもない。
しかしその姿が未だに確認できず不可解だった。
「...ミナミ、くん?」
「ここですっ!」
そんなことを言われ声のした方を振り返り、
うろうろ歩いて、
ようやく自動販売機の上にその姿を見つけた時には絶句である。
何故そんな所にいるのか。
ミナミは自動販売機の上で迷子が見つかった時のような嬉しそうな顔をした。
「........なにを、しているのカナ?」
「オレ...やっぱりどうしても我慢出来なくなって、ほくとさんに会いに行こうとしたんですけど
この道通るといつもこうなるんです」
「こうなるとは?」
「自販機に吸い寄せられるんです」
「ごめん全然わかんない」
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