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2-27 歯車的調教

星風ゆりえの啜り泣く声が女子トイレに響いていた。 袖野はぜえぜえいいながら一つだけ閉まっている個室の前に立つ。 トイレの入り口では数名のスタッフが無言で不安感や苛立ちをぶつけてくる。 「あー...ゆりえさん」 「そ、でのさん...?」 その悲痛な声には胸が苦しくなるのも事実だった。 おかしな性癖と理不尽な社会と、 そばに居たい人がいるのにしたい事があるのに それは叶わなかったりする。 生きていくことは、辛くて苦しいことだ。 しかし、袖野はミナミの姿を思い浮かべると不思議と心が軽くなってしまうのだ。 救われている。心の底から、彼に。 「....前も言ったと思うけど、ボクが仕事以外で縛りたいのは好きなコだけ。 でも仕事なら、好きじゃなくても寧ろ苦手でもいくらでもやるし こんな風に休みの日にわざわざ出向いたりもできる。」 「...う..」 「悲しいけど、生きてくって仕事してくってそういう事やと思うしな。自分で選んだ事なんやから ..いつかきっと、それを丸ごと救ってくれる人が現れるよ。君にも」 それでも、彼がいるから、折れずにいられる。 袖野は深呼吸をし、閉ざされたドアを蹴りつけた。 中から悲鳴が上がる。 「開けろ、ゆりえ」 低い声を出すと、彼女の荒れた呼吸が響き渡った。

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