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2-34 なんでもない。

「...ほく、とさん...」 「.....うん?」 「オレ..、男ですけど..大丈夫でしょうか...」 突然言われた言葉に思わず手が止まる。 何が? え?今更?ですけど? 今更何を性別など気にするのか。 そもそもそれってこっちの台詞だったんですけど。 「......はい?」 「ん....ほくとさんから、どんな風に見えてるかわかんないんですけど... こういうのって、普通、女の子縛った方がいいんすよね..」 唾を飲み込みながら呟く彼の後頭部を見ながら、 危うく素に戻りそうになり やがて言っている意味がなんとなく理解できると、おかしくて笑ってしまう。 「あんなぁミナミくん...最初に言うたやろ、好きなコしか縛りたくないって」 「...そうですけど..オレ...」 袖野は、はあ、とため息を零し彼の身体をひっくり返した。 いろんな液体でぐちゃぐちゃになった哀れな顔を見下ろしながら、彼の自由な左手を取り口付けた。 「僕が本当に縛りたいのは君だけだよ」 新しい縄を取り出して手首から指先まで丁寧に縄を巻きつけていく。 本来なら自分の掌を絡ませればいいのだけど。 「男とか女とかじゃなくて、君だから」 頬を掴んで肉を寄せると唇が突き出された変な顔になって、 ミナミはぽろぽろと涙を零していた。 「ふふ、汚い顔だなぁ」 そう言いながら口付ける。 しょっぱい味がした。

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