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2-36 好きな人
「かわいいなぁ、鈕は」
涙を指先で拭ってやりながら彼の腰を持ち上げてやり、入り口に中心の先端をあてがった。
「ほら腰落として」
そう囁くと、ゆっくりと自身は飲み込まれていく。
肉壁がぎゅううっと味わうように締め付けてきて、刺激に耐えられなくなったのか途中で動きが止まってしまう。
「ん、っ..ぁ、はぁ..っ」
びくびくと彼の身体は震えていて、袖野は仕方なく彼の腰を両手で掴みそのまま一気に引き落とした。
「ッ、あぁあっ..!」
悲痛な叫び声をあげ、ミナミは仰け反った。
その反応で縄の締め付けが強まり更に彼は悶えている。
容赦無く腰を動かし始めると、彼の自身から押し出されるように精液が迸った。
「あら、らぁ。勝手にイっちゃったね」
「あ、ごめんなさ...ぃ..っ、ァ...、あ...ッ」
がくがくと開きっぱなしの口から唾液が溢れ
下から押し上げるように熱を突き立てた。
「..っ、ヒ....あ、ぁ、あ...ッ」
「鈕」
激しく揺さぶられながら名前を呼ぶと
彼は泣きながら必死に見つめてくる。
「ん、っ、ぁ...す、き...」
濡れた声から思わず溢れたような告白に
袖野は彼の頬に触れて指先で拭った。
「すき...、っ..すきです...」
両手で頬を包むように撫でると、ミナミは潤んだ瞳でじっと見つめて来て、
うわ言のように、すき、と繰り返した。
泣きじゃくるミナミに、縄を巻き付けただけの左手を掴み彼の身体をベッドに押し倒した。
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