88 / 92

2-36 好きな人

「かわいいなぁ、鈕は」 涙を指先で拭ってやりながら彼の腰を持ち上げてやり、入り口に中心の先端をあてがった。 「ほら腰落として」 そう囁くと、ゆっくりと自身は飲み込まれていく。 肉壁がぎゅううっと味わうように締め付けてきて、刺激に耐えられなくなったのか途中で動きが止まってしまう。 「ん、っ..ぁ、はぁ..っ」 びくびくと彼の身体は震えていて、袖野は仕方なく彼の腰を両手で掴みそのまま一気に引き落とした。 「ッ、あぁあっ..!」 悲痛な叫び声をあげ、ミナミは仰け反った。 その反応で縄の締め付けが強まり更に彼は悶えている。 容赦無く腰を動かし始めると、彼の自身から押し出されるように精液が迸った。 「あら、らぁ。勝手にイっちゃったね」 「あ、ごめんなさ...ぃ..っ、ァ...、あ...ッ」 がくがくと開きっぱなしの口から唾液が溢れ 下から押し上げるように熱を突き立てた。 「..っ、ヒ....あ、ぁ、あ...ッ」 「鈕」 激しく揺さぶられながら名前を呼ぶと 彼は泣きながら必死に見つめてくる。 「ん、っ、ぁ...す、き...」 濡れた声から思わず溢れたような告白に 袖野は彼の頬に触れて指先で拭った。 「すき...、っ..すきです...」 両手で頬を包むように撫でると、ミナミは潤んだ瞳でじっと見つめて来て、 うわ言のように、すき、と繰り返した。 泣きじゃくるミナミに、縄を巻き付けただけの左手を掴み彼の身体をベッドに押し倒した。

ともだちにシェアしよう!