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3-2 掃き溜めにうさぎ

「編集長、カミエちゃんに色々背負わせすぎなんじゃないですかぁ?」 上座に鎮座された編集長に向かって、一番近い席からヤジが飛んでいく。 たしかに上江は會下詠慈という数々の担当を精神科送りにした問題児を手名付けた名調教師ではあるが それにあやかって面倒な作家を押し付けられているようではあった。 「いーんだよ。あいつはああいう気質だ」 鬼と名高い編集長は呑気な事を言いながらパソコンの画面から目を離さず顔を上げもしない。 この適当に見える編集長もとても理不尽ではあるがなんやかんやこの変態達をまとめあげているので 腕は確かなのだろう。人としての大事な何かは欠落しているが。 「背負いすぎなのは前担な」 「まあ確かにな....あいつ本当メンヘラ寄せるよな〜」 「女ならまだいいけどおっさんのメンヘラはやばい」 変態その1とその2が早速ゲスな笑い方をしていて 袖野はこっそりため息を零しながら仕事に集中する事にした。 今は部屋にいない前担や新人君も背負っているといえば背負っているだろう。 ここにいる以上は何かしら背負うしかない。 責任だったり重圧だったりももちろん、社会にいる以上は仕方ないらしい。 それでも人はなぜ働くのでしょうか。 なぜ生きているのでしょうか。 不意に携帯端末が何かを受信したらしく、静かに震えた。 開いて見てみると、恋人であるミナミからのラインで ご飯行きましょうダンスを踊るウサギのスタンプが送られてきていた。 袖野は思わず笑ってしまいながらも、了承の返事を返しておいた。 なぜ人は働くのでしょうか。 なぜ生きているのでしょうか。 たぶん、君に会うためかもしれません。

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