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3-4 ミナミがネギ背負ってやってきた。
歩いている途中でネギは野生の鳥に奪われてしまい、
袖野は、絶対今のカモやって、と道端で笑い転げていた。
鳥に詳しいほくとさん素敵だなー、と感心しながらも
カルーアミルクという甘々な酒を飲んでミナミはちょっとふわふわしていた。
「それにしてもなんかしゃれとる店やなぁ…みんな自撮りしてるやん…」
「エイコに聞いたんすよ」
「ふーん?」
「ここでよくナンパするらしいです」
「逆ナンってやつか...?最近の子は凄いなぁ」
今日の店は、会社内で仲良くしている同期のギャル社員エイコが
コスパ最強!と最近推している店である。
インスタで流行っている物全部集めちゃいました的なメニューもしかり、値段もしかり確かに悪くはないし
カップルだらけというわけでもなく、居心地もまあまあだ。
「ミナミくん普段家で何飲んでるん?」
「ルードビアっすね」
「そうきたか...」
「あれが世界一うまいと思ってるんで」
「格好つけて言う事ちゃうよ」
家ではあまり酒は飲まないけど、会社とか友達と普通に飲む事もあるし、別に特別弱いわけではないと思っていた。
しかし何杯飲んでもケロっとしている袖野には勝てなさそうだ。
それになんだか今日は特にふわふわしていて、好きな人の前だからかなぁとぼんやり考えながら
彼の顔をぼうっと見つめる。
照明の暗い店内では彼の顔しかはっきり見えないような
そんな錯覚すら覚える。
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