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3-5 ミナミがネギ背負ってやってきた。

「...大丈夫か?」 「ほくとさん…オレは心配なんですぅ」 「はぁ?なにが」 アルコールでふわついた頭の所為か、いつも以上に彼が光って見えて ミナミはテーブルに這いつくばるようにしてじろっと袖野を睨んだ。 「…ほくとさんのこと好きになればなるほど、嬉しいけど… なんか、どんどん気持ちとめらんなくなりそうで」 袖野はどこか呆れたようにミナミの頭に触れてくれた。 「そんな風に言ってくれんの、ミナミくんだけやで…」 「うそだぁー。」 「はぁ…全くボクをなんだと思ってるん…?」 ニヤニヤと笑いながらも、どうにも彼を独占したいような気持ちが出て来てしまう。 でも彼に嫌われたくなくて、ミナミはまたグラスを引き寄せて口を付けようとした。 「あーもうやめとき!終わり終わり!」 彼にグラスを取り上げられてしまい 袖野はミナミから奪った酒を一気に飲み干し、あんまぁ、と顔を顰めている。 その男らしさにきゅんきゅんしてしまい、ミナミは思わず彼に顔を近付けた。 「めっちゃチューしたい今」 「アホ」 すとんと頭を叩かれて、ミナミはへらっと笑ってしまった。 普段上司である鬼課長にモグラ叩き並みに頭を叩かれているが 袖野にされるとなんだか嬉しかった。 「もー酔いすぎ!帰るで」 「いやだー!」 「はぁー?めんど!」 引きずられるように立ち上がらされ、 結局ミナミは連行されるように店から連れ出されてしまった。

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