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3-8 今日は縛らないんすか?
「ふーん。そっか。可愛いね」
袖野は淡々と感想を述べ、ミナミの両手をさっさと退けてしまうと唇を重ねてくる。
可愛い!?と遅れてやってきた感動に目を見開いていると
唇の隙間から彼の舌が侵入してきて、びくりと身体が揺れる。
「...っ、..ん」
抱き着きたいが、手首を両方とも抑えられていて叶わない。
彼の舌に自分の舌を絡めると、緊張よりも気持ち良さが上回ってしまって。
「ん…う、…はぁ...」
息苦しくて、気持ちよくて、幸せで、視界が滲んだ。
熱を帯びた身体が早く触って欲しくて
彼に縛られてできた痕が、思い出すかのように疼いた。
唇が離れると、乱れた呼吸が止まらなかった。
苦しいだけでなく、興奮して息が上がっているようだ。
「緊張してる顔には見えないね」
袖野は微笑みながらも、ミナミからネクタイをするりと抜き取りシャツのボタンを外した。
早く触って欲しくて疼いているのに、指先が痺れて動かない。
シャツを脱がされながら、肌に口付けられる。
「…っ、ふ、あ...ぁ」
縄の痕の上を舌でなぞられると、勝手に仰け反ってしまう。
強く吸い付かれて、痕を付けられていると分かると
浅ましくも悦んでいる自分がいた。
下も全部脱がされたが、彼は未だに腹のあたりに口付けていて
嬉しくももどかしくて、ミナミは眉根を寄せた。
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