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3-9 今日は縛らないんすか?

「..ほく...とさん.....」 熱い吐息の隙間で彼を呼ぶが無視された。 いまだに縛って来られないし、なんだか不安になってしまう。 なんとか彼の頭に触れると、彼はこちらをちらりと見上げた。 「何?邪魔だよ」 「..う...あの、今日は…縛らないんすか...?」 期待しているわけではないのだが、無自覚に縋るような目になっていた。 袖野は、んー、と口を歪めて唸り やがてミナミの腕を重ねて頭の上に持っていきネクタイで手首を縛った。 「はい。」 雑に投げ出されミナミは思わず、え、と声を零してしまった。 簡単に抜け出せそうだったが、すぐにまた横腹の辺りに口付けられびく、と身体が揺れる。 「ふ..うう....っ」 だんだんと激しさを期待し過ぎた身体が彼の愛撫に過剰に反応し始める。 順々に痕を残されていくが、時々歯が当たるぐらいで もどかしい快楽が身体の隅々まで伝染していった。 中心にも胸の突起にも触れられず、 足のつま先まで口付けられ、終わったと思ったら身体をひっくり返されて 背中からまた始まった。 「ぁ...、はぁ....」 気が狂いそうな熱だった。 平坦で単調な愛撫で、もっと激しくして欲しくて、ガタガタと体が震える。 触って、と言っても、触ってるでしょ、と返されるし 難しい言葉も考えられないほど頭の中が彼でいっぱいだった。 簡単に両手を縛っているネクタイから抜け出して彼を押し倒して上に乗っかりたかったが 気が付けば指一つ動かすのも厳しいほど甘く痺れていて。 焦らされすぎたせいか否か、 縛られていないのに、縛られているような感覚になっていた。

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