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3-15 しない
「へえ。僕のこと嫌いなんだ」
そんな訳は万に一つもないのだが、
つい出てしまった言葉にミナミは後悔をしながらも泣き続けた。
「でも僕は鈕のこと、好きだから。」
耳元で呟かれ、びく、と身体が瞬時に沸騰した。
残酷なほどに焦らされ続けた身体が、ざわざわと鳴き始めて
甘く痺れて動けない。
「あ....あれ.....」
やっとの思いで顔を上げるが視界がグラグラと揺れて、自分の呼吸だけが大きく聞こえていた。
苦しくて、先程まではあんなに刺激が欲しかったのに。
今は彼の吐息が肌にかかるだけで、思わず息を飲むほど震えてしまう。
身体をひっくり返され、助けて欲しくて彼の顔をじっと見つめた。
「ふ...、っ」
「こんなに僕は君のことが好きなのになぁ。」
足を広げられ、その間に熱く滾ったものがあてがわれた。
今までずっとただひたすら繋がりたかったミナミは
思わず唾液が溢れてきてしまう。
「嫌いかァ。傷ついたな」
袖野は、はぁ。とため息をこぼしていて
早く欲しいと身体が言うことを聞かなくなっているミナミだったが
身体が過敏になりすぎて自分では指先一つ動かすのもかなわなかった。
もう拘束も解かれてしまったというのに。
「そんな顔しても、しないからね」
「...っ、ぅう...ひぐ....っごめ、ごめんなさ...」
「嫌いなんでしょ」
「..ちが...くて、嫌い..とか嘘...っ」
ミナミは必死に否定しようと呂律の回らない舌を動かした。
「嘘です...っ、すき...っ」
鼻水と涙と唾液でぐちゃぐちゃになりながら必死に伝える。
自分はなんてとんでもないことを言ってしまったんだろうと思うし
苦しくて苦しくて死んでしまいそうだった。
「ごめん、なさいぃぃ....ほんとは、だいすきっ、です...ッ」
彼がどんな顔をして聞いていたかなんてこともわからないくらいにはめちゃくちゃだった。
ただひたすら気持ちを叫んでしまって。
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