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4-6 どうせ変な奴しかいない
「うちは基本的にWeb媒体ですけど、アクセス数も上々なんですよ
他の女性誌とも提携して、もっと女性が輝くために色んな方向からアプローチしていこうって売り出しているところなんです」
久森編集長はやる気に満ち溢れたトークを繰り広げるが、
女性を大変卑猥な視点で見続けて煮詰まり過ぎた、という男尊女卑も甚だしい時代錯誤な世界に浸かりすぎている袖野にとって
女性が輝くための仕事に自分達が関わっても大丈夫なのだろうかと若干不安になるのだった。
夢も希望もないような特選とは対極にある彼女の高尚な思想は尊敬ではあるのだが
自慢できるような事もなく袖野はただただ愛想笑いでしかなかった。
しかし仕事は仕事なので、軽く企画の方向性などを話し合い、後日また改めてミーティグということで落ち着いた。
具体的に動く前段階の準備もお互いに色々と必要ではあるだろうし。
「えーとでは、木曜日の14時からお時間もらえますか?2時間くらいかな」
「ええ、大丈夫ですけど…」
「そうだ、袖野さんはパンケーキ食べれます?」
「はい?」
スケジュール帳を確認している久森を袖野は思わず見つめてしまう。
彼女は顔を上げて微笑みを浮かべた。
「うちの方針なんです。ミーティングはモチベ上げる為にスイーツを食べながらって
ですので袖野さんも是非!」
「スイーツ……?」
普段周りに変人しかいないため素っ頓狂な発言には慣れているはずだったが、
彼女の言葉の意味が理解できず首を傾ける。
女子だけの職場はこれが普通なのだろうか、とか考えて固まってしまう袖野に久森は首を傾ける。
「お嫌いでしたか?」
「いや、大丈夫ですけど……」
「それならよかった!
実は新しくできたカフェのパンケーキがSNSで話題になってて
次のミーティングはそこにしようって盛り上がってたんです」
「それはその…ボクなんかが混ざっていいんです…?」
「勿論です!みんなも喜ぶと思いますよ
楽しみですね!」
久森の笑顔に袖野は頬を引き攣らせて笑いながらも
手帳の端っこに、木曜日14時パンケーキ、と震える文字で認める。
前言撤回。
やっぱ変人ばっかりだ。
エロい事を日々無理矢理創造させられている人間は脳に異常がきたすことを確信する袖野であった。
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