122 / 149

4-7 お荷物課の日常

今週もまた始まってしまって、社内は地獄のように殺伐とした雰囲気だったがミナミはご機嫌だった。 恋人の袖野とちょっとだけデートが出来たいい週末だったから。 「なんかミナミくんご機嫌じゃん」 斜め向かいの席に座る裾川から声をかけられ、ミナミは顔を上げてはへらりと笑った。 「えへへーなんか最近イイ感じで〜」 「ふーん?まあミナミくんが楽しそうだとこっちもなんかアガるよ」 「まじっすかぁ?」 裾川に褒められてミナミはますますでれっとしてしまう。 それもこれも恋人の袖野のおかげかと思うとますます彼を尊敬してしまうミナミだった。 もちろん心配な事がないわけではないし、嫌われない為に気を引き締めねばと思いもするけど それでも幸せの余韻に浸ってしまうのだ。 本来憂鬱なはずの月曜日なんてなおのこと。 「あー…面倒なことになった……」 しかし月曜日の化身のように顔を曇らせた上司が戻って来てしまった。 彼はため息を溢しながら、ミナミの隣のデスクに手に持っていた紙束を置いている。 「どうしたん?」 「営業部が何人か退職代行で飛んだらしくてな…こっちに案件が回って来て…」 「はい?営業の案件?なんで?」 「知らん……イベントのブース出展をまるまる投げて寄越された…お前んとこの宣伝にもなるだろって…」 「それって広報とかの仕事じゃん…うちって開発系…だよね?」 「広報も人手不足なんだと…」 普段は鬼課長である真壁はさすがに疲れたように溜息をこぼしている。

ともだちにシェアしよう!