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4-10 女子会パンケーキ

お世辞にも自分は普通の人間だなんて思えていないけど、長年社会の荒波の中もがき苦しんで生きて来たゆえに 誤魔化すのも嘘をつくのも装うのも得意になってしまったから 少々は擬態できてる度は高いんじゃないかと袖野は自負していた。 「わぁ〜すごーい!」 しかし、巨大なパンケーキを囲んできゃっきゃとはしゃぐ女子達には流石に擬態できそうもない。 袖野はテーブルの端でどんな顔をしていいか分からず苦笑しながら、フルーツが山盛り乗ったパンケーキの皿に携帯端末のカメラを向ける女子達に圧倒されていた。 ミーティングと称して最近出来たというカフェに連れてこられた為 一応仕事ではあるのだが、こんなのはアリなんだろうか。 それ以前にこんな女子度の高いオープンなカフェで官能の話なんてして大丈夫なのだろうか、と疑問が止まらない。 しかし彼女達はミーティングはスイーツを食べながらどうのこうのと言っていたのでこれが普通なのかもしれないけど。 おじさんには考えられない事である。 「袖野さん、幾つか提案してくださってありがとうございました 本当に仕事が早くて驚いちゃいましたよ」 「あ…ええ、いえいえ…」 「五虎七瀬先生の作品、私とっても好きなんですよ。 この前の“氷溶かす”なんて大号泣しちゃって…」 「わかります!繊細な描写に感動しちゃったなぁ… 本当に男性が書いてるのかなって驚いちゃったもん」 九森以外の特別sentimentalのメンバー達も、 髪の毛を綺麗に染めていたり、華やかな色合いの服装に、ピアスや指輪やネックレスなどおしゃれをしていて まるでドラマを見た感想のように官能小説の話をしている。

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