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4-12 見つけちゃった

「いいか?ミナミ、本当に大事なやつだからな? 落とすなよ?」 「もー大丈夫ですってばぁー心配性なんだからぁ」 という会話が2時間前である。 ミナミは、押しに押された念をあっという間に吹っ飛ばし 大事な書類を咥えて走る小型犬の背中を追いかけていた。 「犬〜!待ってええ!!」 半泣きになりながらも、どこから逃げてきたのか、嬉々として全力ダッシュをする犬の姿を追いかける。 犬は小回りのきくボディを生かし、 都会のビルの間を疾走し、やがて飲食店が立ち並ぶエリアにやってきた。 とあるカフェの前で立ち止まった犬は、尻尾を振りながらガラス戸に前足を掛けていて ミナミはすかさず追いついてその犬を捕まえた。 「はー…やっと捕まえた…全く、だめだぞお前…! これは美味しいものじゃないんだからな…!」 犬も流石に疲れたのかミナミの腕の中に収まってくれた。 犬から書類を剥がしとると、唾液でベッタリと濡れていて小さな噛み跡がついている。 「うわぁ…どうしてくれんだよこれぇ!大事なものなのにぃ…」 犬は悪気のないつぶらな瞳で見上げてくるので、しょうがないなぁという気持ちになってしまうが また課長に怒られることを想像するとため息が溢れてしまうのだった。 しかし立ち止まってくれたのは幸いだった。 そこはカフェになっているらしく、美味しそうな匂いでもしたのかもしれない。 「……ん?」 ガラスの向こうを見るとおしゃれなカフェ空間が広がっていて、客も結構な人数が入っていたが 女性だらけの客の中に一人だけ浮いた存在を見つけてしまい思わず目を開く。

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