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4-13 見つけちゃった
「ほくと…さん……?」
端っこの席の4人がけテーブルに、3人の女性と共にいる袖野の姿がそこにあった。
スーツ姿で相変わらず格好良かったが、隣に座るショートカットの女性と何やら楽しそうに話していて
ミナミは思わず呆然と見つめてしまう。
胸の中にモヤっとした黒い煙のようなものが湧き起こってきて、それがあっという間に全身を蝕んでいくようだった。
その不思議な感覚に思わず唇を噛み締めてしまう。
「おぉいニイちゃん」
急に肩を掴まれて振り返ると、サングラスをかけた強面の男が立っていた。
「へ…?」
「その犬になにしとんじゃボケ」
「え?あ、こいつ…?」
男はミナミが抱えていた犬を指差すと、サングラスをずらして睨みをきかせてくる。
よく見ると後ろにも似た感じの男が二人立っている。
「そいつは兄貴が大層大事にしとるんじゃ。よこさんかい」
「え…ア、ハイ…」
だらりと脱力してミナミに抱き抱えられていた犬を差し出すと、男は大事そうに犬を抱えあげ
おーよしよし、とその頭を撫でている。
「てめぇプリンちゃんに怖い目合わせたとちゃうんか!?オォ!?」
「いや…そんな大事ならちゃんとリードしといてくださいよ…
今回はたまたまオレが捕まえられたけど車道にでも飛び出したら…」
「あんだとぉ!?」
ミナミは半笑いになりながら正しい事を言うが、三人の男に詰め寄られてしまう。
「ちょっとツラかさんかい!」
「いやオレ予定が…仕事…」
「仕事より大事な要件じゃこっちは!命に関わる問題やぞ!」
「えぇ…、いや、…えー…?」
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