128 / 149

4-13 見つけちゃった

「ほくと…さん……?」 端っこの席の4人がけテーブルに、3人の女性と共にいる袖野の姿がそこにあった。 スーツ姿で相変わらず格好良かったが、隣に座るショートカットの女性と何やら楽しそうに話していて ミナミは思わず呆然と見つめてしまう。 胸の中にモヤっとした黒い煙のようなものが湧き起こってきて、それがあっという間に全身を蝕んでいくようだった。 その不思議な感覚に思わず唇を噛み締めてしまう。 「おぉいニイちゃん」 急に肩を掴まれて振り返ると、サングラスをかけた強面の男が立っていた。 「へ…?」 「その犬になにしとんじゃボケ」 「え?あ、こいつ…?」 男はミナミが抱えていた犬を指差すと、サングラスをずらして睨みをきかせてくる。 よく見ると後ろにも似た感じの男が二人立っている。 「そいつは兄貴が大層大事にしとるんじゃ。よこさんかい」 「え…ア、ハイ…」 だらりと脱力してミナミに抱き抱えられていた犬を差し出すと、男は大事そうに犬を抱えあげ おーよしよし、とその頭を撫でている。 「てめぇプリンちゃんに怖い目合わせたとちゃうんか!?オォ!?」 「いや…そんな大事ならちゃんとリードしといてくださいよ… 今回はたまたまオレが捕まえられたけど車道にでも飛び出したら…」 「あんだとぉ!?」 ミナミは半笑いになりながら正しい事を言うが、三人の男に詰め寄られてしまう。 「ちょっとツラかさんかい!」 「いやオレ予定が…仕事…」 「仕事より大事な要件じゃこっちは!命に関わる問題やぞ!」 「えぇ…、いや、…えー…?」

ともだちにシェアしよう!