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4-23 教えて上司
「……ミナミくんが怪我してた事も知らなかったな…」
彼の過去以前に、ミナミがそんな事になっているだなんて知らなかった。
話す価値がないとでも思われたのだろうか。
そう思うと悲しい感じがして、袖野は自分の手を見下ろした。
「…袖野さん」
真壁は心配そうにしてくれていて、袖野は無理矢理笑って誤魔化した。
「ミナミに…袖野さんを心配させんなって言っておきます…」
「いや、いいですよ…自分らの問題やし。
ボクは頼れん奴やって思われたんかもなぁ」
その整った顔に思わず愚痴りそうになってしまうけど、彼は無関係といえば無関係なのだし
これ以上は巻き込めないと思い直す。
「すみません、真壁さん…余計なこと聞いて」
そりゃ、呆れられもするかもしれない。
真壁の言う、元に戻った、という表現が正しいのであれば
もしかするとミナミは、自分はやばい奴と付き合ってると気付いてしまったのかもしれないし。
そう思うと泣きそうにもなってしまうけど。
そんな気持ちを現実に呼び戻すようにドタバタとした足音が近付いてくる。
「ありましたぁぁ!捨ててなかった!本当に良かった!」
半泣きの七瀬が頬を染めながら部屋に飛び込んできた。
彼はこちらに来るとUSBメモリを差し出してくる。
「すんません…お手数おかけしました」
「いえいえ…!あんな超初期の頃の覚えててくださってるなんて思わなくて…
その、ちょ…丁度部屋を片付けた後だったから探すのに手間取っちゃって…」
七瀬は部屋を探し回ったのか若干息が弾んでいて、真壁は怪訝な顔をしながらも彼の髪についている埃に手を伸ばしている。
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