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4-25 教えて上司
ミナミがなんやなんや言いながら上司の事を尊敬していそうな感じだった理由がわかった気がした。
ああしているけど、ミナミは実はちゃんとよく人を見ているし
損得を抜きにした結構真っ当な評価をしていたりもする。
彼には自分はどう見えているんだろう。
元に戻った、とかいうミナミはどう感じているんだろう。
袖野は相変わらず複雑に思いながらも、会いたいな、と思ってしまっていた。
別に嫌われていても良いから、それならそうとちゃんと教えて欲しいし
もう一緒に居たくないのならそう言って欲しかった。
きっと自分は、わかった、なんて物分かりのいい事はなかなか言えないかもしれないけど。
だけどちゃんと、傷付けて欲しかった。
もしも自分が、なにか傷付けてしまったのなら。
「あー……」
あたりはすっかり暗くなってしまった。
夜空を見上げながら、袖野は小さく声を溢す。
「本気すぎるんやなぁ……どうも…」
薄々感じては居たけど
思っていた以上に、彼の存在が大きくなってしまっているらしい。
失いかけてそれを思い知るなんて。
自分は何度こういう、遅かったって思う事を繰り返してしまうというのだろう。
まだ間に合うといいのに。
そんな甘い見積もりをしてしまいながらも袖野は肩を落として歩き出すのだった。
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