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4-29 課長フィーバータイム

「なんの仕事やったんですか?」 「あー…ちょっと催事みたいな感じで…」 「休日なのに大変やねえ」 「袖野さんこそ…」 「今ちょっと佳境でな…」 二人は他愛のない話を始めていて、ミナミはやっぱりちょっともやっとしながらも これが嫉妬か、なんて思ったりする。 だけど社内でも足が長くて有名な上司よりも背が高い袖野を見ていると、頭がぼうっとなってしまって 本当にオレの恋人なんだろうか、と今更不思議に思ってしまう。 まだそう思ってくれているだろうか、とか。 だけどさっき真壁に言われたように、ちゃんと話さなければという使命感が湧き起こってきてしまう。 ミナミは荷物を持つ手に力を込めながらも、必死に頭の中で言葉を構築していた。 「………っ…ほくとさん」 ミナミは立ち止まって彼を呼んだ。 「お…オレ……、オレの事まだ、好きですか!?」 ボリュームを間違えて馬鹿でかい声があたりに響き渡ってしまった。 袖野は真顔のまま、え…、と呟いている。 「え、えー……」 ミナミが涙を溜めた目で睨むように見つめていると、袖野は隣の真壁を見下ろし 明後日の方向を見つめ、ぎゅっと目を閉じた後頷いた。 「…はい……」 袖野はそう言いながらも両手で顔を覆っている。

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