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4-30 課長フィーバータイム
言いたいことがいっぱいあるのに、
どう言えば良いのか分からない。
「ほくとさん…っ」
ミナミは彼にめちゃくちゃ抱き付きたくなって駆け出そうとしたが、肩を掴まれて後ろに引っ張られてしまい阻止されてしまった。
振り返ると、どこかで見たようなサングラスの男が立っていた。
「やーっぱりのう!この前のニイちゃんじゃ!
その髪でピンときてのう」
「エ…?」
男の後ろにはこの前よりも二、三人人間が増えている気がする。
「プリンちゃんがあれからすっかり怖がって
散歩に行かんくなってしもうたんや!どう落とし前つけてくれるんじゃワレェ!」
「はい…?」
「精神的に追い詰めるようなことしたんちゃうんけ!」
「いや…懐かれてないだけじゃ…」
「あぁ!?」
またもや難癖をつけられてしまい、ミナミはビクビクしながらも後退る。
すると肩から男の手を引き剥がし、ミナミを守るように袖野が間に入ってくれた。
「この子になんか用です?」
「アァ?なんだてめーは!」
するとサングラスの男の後ろに控えていたガラの悪い男達がわらわらと集まってきて袖野に詰め寄り始める。
「そのニイちゃんと話とんじゃ!余所者はすっこんでろ!」
「余所者じゃないし、言い掛かりとちゃうん?」
「ドアホ!兄貴のプリンちゃんに危害加えられとんじゃこっちは!」
「慰謝料払えや慰謝料!」
「いや…ノーリードで放つから…」
「じゃかましいわ!」
正論を言いつつも袖野が殴られたら嫌だとミナミは彼の服の裾を引っ張るのだが、彼は男達の前から引かずにいて
自分の所為だと罪悪感が凄まじい事になってしまう。
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