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4-33 覚えたての感情
独り占めしたいし、手放したくない。
例え嫌われたとしても邪魔だと思われたとしても。
「オレ以外の人のこと触ってたら…好きになってたら…
って思ったら…頭おかしくなる……」
ミナミが目をぐるぐるさせながら呟くと、袖野は呆れたようにため息を溢して顔を近付けてくる。
「そんなわけないやろ…ミナミくん以外考えられへんしぃ…」
「わかんないじゃん…」
「はぁ…じゃあ分からせるから、」
袖野はミナミの頬を軽く抓った。
「不安になったらちゃんと言って」
そうやって睨まれるようにジッと見つめられると、身体が熱くなってしまうようで
やっぱり、誰にも取られたくなくなってしまう。
そんな風に思ったのは初めてだった。
自分のものだ、って、思ってしまうのは。
「いいの……?」
「当たり前やろ…言ってもらわんと分からんやん?」
「うん…」
どうしてそんなに受け止めてくれるんだろう。
涙をだらだらと溢しながらも、ミナミは彼を見つめ続けてしまうのだった。
「はースッキリした。」
暫くして現れた上司は、脱いだジャケットを片手にシャツも何故か腕まくりしていてネクタイも緩んでおり
頬には返り血のようなものがついていたが、その証言通りなんだか元気になっているような感じもした。
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