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第4話 12月24日(月)22時50分 続・雪村聖のアパート

「あ、ああっ! もう、だめぇ、また出ちゃう、イッちゃう! ああああっ」 「すごい、聖さん。勃起できたと思ったらすぐに出しちゃうんだもん……やっぱり前立腺が良かったんですね」  カイが感嘆の声を上げて、聖の孔から一気に指を引き抜いた。「ひっ」と短く呻いて聖は自分を支えているサンタの胸へと倒れ込む。  聖は今、裸で四つん這いになっていた。  本当に勃起しないのか、まずは試しに前を刺激してみようと言われ、たっぷと時間をかけて全身をくまなく愛撫された。しかし、カイから巧みなフェラチオを(それも人生で初めて)受けたときでさえ、気持ちいいとは思うものの聖のものは勃ちあがらなかったのである。  それならば、となかば言いくるめられる形で後ろを探られた瞬間―― 「良かったね、聖くん。勃起できるようになったじゃないか」 「あ、あ……」  勃起できるなんてもんじゃないと言いたかったのに、まともな返事ができない。頭が真っ白だ。自慰でだってこんなにも感じたことはない。 「もう、俺……我慢できないんですけど」  カイは大きなため息をつきながらズボンの前をくつろげて、硬く勃ち上がったものを取り出した。聖のものとは比べ物にならないほど―― 「お、おっきい……」 「っ……!」  振り返り、焦点の合わない状態でカイを見上げた。息を呑む音と同時に突然荒々しく尻を掴まれる。 「カイ」  サンタの低音が響く。  ぴたりとカイの動きが止まり、掴む手も離された。聖の背中がそっと撫でられる。 「聖さん……俺、聖さんの中に入りたい。聖さんのこと、もっと気持ち良くしてあげるから……ダメ、ですか?」  這っている聖の横から上目遣いで見つめるカイの表情は、まるで聖の大好きな動物の愛嬌の仕草だ。こんな状況でも、可愛いなぁ……とまた胸がくすぐられるような気持ちになる。  なかなか答えを出さない聖に、カイは「それなら、すぐに出さないための練習っていうのはどうですか?」と提案してきた。 「だって聖さん、早すぎるのも悩みだって言ってたから……気持ちよくても出さないように練習しないといけないですよね?」 「う……わ、わかった、けどっ、あああっ!」    返事を最後まで言い終わる前に、後ろから熱い棒が押し込まれた。 「あ、あっ、ああっ、んあぁ!」 「はっ、はっ、聖さん、まだ、出しちゃダメですよっ……」  後ろから容赦なく突き刺される。ぱんぱんと肉がぶつかりあう音に自分でも信じられないほど甲高い声が重なる。 「まるで獣の交尾じゃないか」  やれやれ、とため息混じりにサンタが聖の胸を抱え直した。ほとんど膝立ちになった状態だが、カイは気にする様子もなく腰を掴んで突き上げ続ける。 「聖くん、私にもご褒美をくれないかな?」 「あ、あ、ご、ほう、び……ああっ」  開いた口の端から顎へと垂れた唾液を、サンタが舌を伸ばしてすくい取った。そのまま聖の咥内へと侵入していく。後ろの激しい動きとは反対に舌先が聖の中を丁寧になぞっていく。サンタもの短い顎髭がちくりと当たる刺激さえ、快感をますます高めていく。 「ふ、出ひゃうっ、ふあ、んんんんっ!」  絡めた舌が急に硬直し、身体がびくびくと震えだした。同時に聖の後ろでカイが呻く。ずるりと引き抜かれるだけで、敏感になった聖の内側が名残惜しげに痙攣する。 「あ……また出しちゃった……」  サンタの赤い服に飛び散る白い液体を見て聖は肩を落とした。どうして我慢できないんだろう、とつぶやく聖をサンタが優しく抱きしめる。 「私は、君がどんなに早くても、勃たなくなったとしても、まったく気にならないよ。君の魅力はそんなことでは決まらない。だって、こんなにも純粋で、愛らしい人は他にいないじゃないか……」  くるりと身体をひっくり返され、背中がベッドへと沈みこむ。大きな手で頬を包み込まれて、聖はその手のひらの温度に言葉を詰まらせる。 「で、でも、そんなんじゃ、こいびとができない……」 「まだそんなことを言っているのかい?」  ふっと笑いをこぼし、サンタは身体を起こした。聖を見下ろす不敵な笑みは壮絶な色気をただよわせている。飲みこまれる、と聖は思った。 「私の愛を、もっとわかってもらわないとね」  いつの間にか外へと出されたそれは、カイにも引けをとらないほど太く、血管が浮き出ていた。サンタは聖の目を見つめながら、ゆっくりと己を沈めていった。 「ああ、ふとい、あああ――」  息が詰まるほどの苦しさだ。サンタはじれったいほどに時間をかけて聖の中を進んでいく。ようやく奥まで届いたころには、聖のへそのくぼみに水溜りができていた。色はもう透明で、さらりとしている。 「二回もイったね。でも、まだまだこれからだよ」    カイとのセックスとは真逆だった。激しい刺激ではなく、じりじりと焼きつくような快感が与えられる。サンタは奥だけをゆるく揺さぶりながら、抱えた脚へ舌を這わせた。膝の裏を舐められて聖は一層高く啼いた。身体中が性感帯になっているみたいだ。 「あ、あ、ああ……ひゃっ」  カイに胸の尖りへ吸いつかれていた。舌先で転がされ、弾かれ、甘く噛まれる。と、同時にサンタが聖の奥をとん、と突いた。 「――――!」  目を見開き、声にならない叫びを上げる。聖の中は激しく収縮し、サンタも苦しげに眉を寄せた。しかし、それが引き金になったのかいきなり腰を大きく揺すり始めた。 「あ、あ、あ、だめ、もう、へんに、なる、ああ、ああああっ」 「いいんだよ。どんな君でも、私は君を愛している」 「あ、あ、あい、して――」 「そうだよ、愛してる。君が幼い頃から、ずっとね――」 「あ、ああっ、はぁっ、んあっ!」  サンタは聖の脚をさらに高く抱え直し、上から腰を落とした。揺さぶられる速度はどんどん上がる。横からカイが呻りながら己のものを聖の胸に擦りつける。 「イくっ、ああ、だめ、イっちゃう、あっ、あああああっ!」  最奥を深くえぐられた瞬間、火花が飛んだ。全身の血液が信じられないスピードで駆け巡っているようだった。腹の中も胸の上も、熱いしぶきがまき散らされる。  混沌に落ちていく意識の中で、聖は腕を伸ばした。サンタは少し驚いたように目を見開き、その腕を自分の首へと回させる。 「メリークリスマス、聖。良い夢を――」

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