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第3話

「なお!なお、だっこして。」 「んー、ちょっと待ってね。」 小さな手を上げて抱っこを強請る凛の頭を撫で直哉は服を着替える。凛を拾った日からもう半年経った。病気も無くスクスク育った凛は直哉の名前もそこそこに発音できるようになり抱っこやおんぶを強請るようになった。 「はい、抱っこー。」 「なお、好きー!」 とても良く成長した凛はもうすでに直哉の腰ぐらいまでに成長していた。そんな凛を抱っこするには細い直哉には少しキツく最近、抱っこをするのを少し躊躇っていた。それでも親バカになりつつある直哉は抱っこをして腰を少し痛める。 「じゃあ俺ちょっと、バイト行ってくるね?ちょっとしたら裕が来てくれるから。いい子にできる?」 「わかった!なお、ちゅーして。」 「んー!はい、じゃあいい子にしてるんだよ?」 食べ盛りの凛を賄うには貯金を切り崩すだけでは足りずバイトを入れ始めていた。幸い友人の裕が居ない間家で凛をみてくれるというからそれに甘えている。凛の柔らかい頬に口付けると凛は嬉しそうに笑って直哉にも同じようにやり返す。幸せに頬を緩ませながら直哉は家を出た。 □ 「ぁっ!?は……はっくす、り……っ?っぁこない、でっぁぅ」 なんてタイミングだ。鞄を弄り薬を探しながらなるべく人目に当たらないよう路地裏に入る。震えて覚束ない手は上手く薬をみつけられない。このままじゃαに見つかってしまう。 「っ!?直哉っ!」 「ゆ、う……たすけ……っぁ」 「口開けろ。」 口に広がる苦い味に顔を歪めながら水で流し込んだ。少しは楽になった身体を裕が背負い運んでくれる。薬を飲んだとはいえまだ発情期の怠さに苛まれている身体は熱くαを求める。 「なお……?どうした……?甘い匂いする。」 「、!?な、んでもないよ。」 幸い家からそこまで離れていなく裕に背負われすぐに家に着いた。背負われている俺を心配そうに見上げながら凛が近づく。甘い匂い、香水なんて付けていない直哉に凛が感じたのは発情期のΩが発するフェロモンの匂いだろう。 明確な年はわからないがまだ5歳にも満ていない凛がフェロモンを感じるとは思ってなかった直哉はわかりやすく動揺する。 「じゃあ凛一緒に遊ぼうか。」 「なおはぁ?」 「なおは寝るって。」 「……わかった。」 名残惜しげに部屋に入っていった直哉を目で追った凛は裕に手を引かれていった。

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