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暑がりの聖はハーフパンツ1枚で、用意されたTシャツを着ようともせず目の前に置かれた皿を凝視していた。
「なぁ、なんでお前器用なのに字は下手なんだ?」
「う、うるさいな早く服着ろよ」
「やだよ暑ぃもん」
聖が風呂から出ると、テーブルにはきちんと食事の用意が整っていた。
ふわふわ卵のオムライスの上にはケチャップで「ひじり」と書かれているが、これがまた流れまくっておどろおどろしい文字になってしまっている。
ケチャップで上手く書くなんて無理だろ、と拗ねたように答え真壁も自身のオムライスにもかけようと赤いチューブを握る。
「あ、待て待て俺がやる」
「いいよ普通で」
「うっせぇ貸せよ」
渋る真壁からケチャップを奪い、身を乗り出してオムライスに文字を書いていく。
「うわ、垂れた」「意外と難しいな」と呟く聖の声は真壁に届いていない。
彼の瞳に映るのは、髪も乾かさないままでいる聖の裸の上半身。
髪から雫が伝い、鎖骨から胸元へと流れていく。
その雫を追っていると、薄紅に色付く小さな突起にたどり着いた。
「……ぃ」
――アレを、手の中で転がして唇で優しく噛んで、舌で舐めまくりたい。
変態じみた考えが脳内で渦巻き、またも鼻と股間に覚えのある反応が沸き上がる。
「おい、聞こえてっか?」
「へ、へへへへい!」
「? どしたよ」
ちょっと思考がぶっ飛んでいた。
背筋に冷たい汗が流れるのを感じながら聖の手元のオムライスを見る。
「……ケチャップ、多過ぎじゃない」
「俺の画力はこんな小さなキャンバスには収まらねぇのよ」
ピンクの乳首曝して何言ってやがる。
喉まで出かかった言葉を必死に飲み込み、まじまじと自身のオムライスを見る。
中央には、多分名前を書こうとして諦めたのだろう。文字っぽいものが踊っている。
両端には、恐らくアレだ、海賊王を目指す某麦わらの少年。
その漫画が好きな聖らしいが、麦わら帽子でしか判別ができないのはどうだろうか。
「いっただきまーす」
「はーい」
とりあえずはふたり揃って手を合わせ、冷めないうちに遅めの夕飯を堪能した。
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