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人々が寝静まってしまった深夜。
例外もなく深い眠りに落ちた聖の顔を覗き込む者がいた。
「……聖」
暑がりな聖は扇風機の風に当たっていてもなお、じっとりと額に汗をかいている。
汗で張り付いてしまった前髪を払い、いつもくるくるとせわしなく動いている瞳を見つめる。
固く閉ざされ自身を見ることのない黒い瞳。
それはまるで、真壁と聖の決して交わらない関係に酷似している。
「……好きだ。聖……」
いつ友情が愛情に変わってしまったのかなんてわからない。
わからないけれど、聖とキャンパスを仲睦まじく歩く彼女に嫉妬した時、自身の想いを確信した。
互いに男なのに。友人以上の関係など望めないのに。
「……好きだ」
日増しに大きくなっていくこの気持ちを、どうしたらいい?
『――このままだと自分がきつくなるだけだぞ。さっさとケリをつけるんだな』
長い付き合いのため、隠していても神谷には気持ちがバレていた。真壁の心境を察し、心から心配している表情で言われた言葉が、ぐるぐると脳内で繰り返されている。
ケリなんて、どうつければいいのか。
離れたらいいのか、それとも気持ちをぶつけたらいいのか。
そのどちらもできない。
聖に嫌われるのが恐ろしくて……動けない。
「好きで……ごめん」
絞り出すようなか細い声が、闇に溶けた。
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