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ふ、と目を覚ました瞬間、不快感が聖を襲った。
じっとりとTシャツや額を濡らす汗。つんざくような、蝉の鳴き声。空腹を訴えかける腹。
何もかもに、起きぬけ早々苛立った。
汗で濡れたTシャツを脱ぎ捨て、ちらりとアラームに視線を移す。
アラームよりも早く起きるとは、自分も中々やるではないかと誇らしげな表情で。
――しかし、その表情は一変し、青ざめた。
「じゅ、じゅじゅじゅ、じゅうにじ!?」
予定よりも2時間も遅く起きてしまっていた。
なぜ、なぜこんなことに。
慌てて残りの服を脱ぎ散らかしながらベッドから足を降ろした。そこに、こつりと何かが当たる。
「……あ?」
3件の着信と、いくつかのメッセージの受信を知らせるスマフォ。
すぐさまパスコードを入力し、すいすいと操作して内容を確認し、聖はうなだれた。
『早く来い』
『さっさと来い』
『シカトこいてんなよ早く来い』
「なにこの子怖い……」
文字だけで、般若のような形相で怒り狂う神谷が想像できた。着信も、予想通り神谷から。
真壁のまの字もない。
ちょっと寝坊して遅刻したからって、こんなに怒ることないのに――ぶつぶつと文句を垂れつつ、身支度を整えて家を出た。
今更慌てたって、講義に間に合うわけがない。ふああ、と大きな欠伸をしつつキャンパスへ向かう。
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