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ざり、ざり。
怒りに満ちた文面を見ただけで、神谷の居るキャンパスへ向かう足は重くなる。
どうせ、また真壁と連絡が取れない云々と喚いてくるのだろう。
問題の出来事から2日が経ち、幾分か冷静になった聖は連絡ひとつ寄越してこない真壁に対して罪悪の念は薄らぎ、怒りすら覚えていた。
そして、何も知らない癖に、真壁と連絡が取れないことを聖のせいだと決めつけ叱りつけてくる神谷を想像して苛立ちはさらに募った。
ざり……。
人もまばらな昼過ぎ。正門をくぐった所で、聖はその足を止めて恨めしいほど青く晴れ渡った空を静かに見上げた。
今ならば、煩い神谷に会わず引き返すことも出来る。ゆっくりと踵を返し、くぐったばかりの正門をじとりと睨みつけてそっと目を閉じた。
その喉元をついて出るのは、重い重い溜息。
「はあ……、っうご!!」
腰に物凄い衝撃と痛みが走った。
完全に気を抜いていた聖はその衝撃のままごろりと転がった。昨日の痛みなんぞ比ではないそれに腰を押さえ、ぐぬぬと歯を食いしばって振り返った。
衝撃の犯人なんぞ、振り向かずとも判ってはいたのだが。
「こ……っのクソチビ何しやがんだ痛ぇだろうが!!」
「てめぇこそ何してやがんだよこの!!」
いつもの悪ふざけではない――見下ろしてくる神谷の瞳が見たこともないほどに怒りに満ちていて、聖は瞬時にそう悟った。
「なん、」
「真壁に何したんだよ」
「は?」
聖を睨みつける神谷の瞳に、ちりちりと怒りの炎が揺らめく。
痛む腰を擦りながら立ち上がり、神谷の鋭い眼差しを正面から受け止める。
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