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 荒く熱い呼吸を繰り返しながら、真壁はふっと笑った。 「あつい」 「おう」  笑って、互いの身体を抱き締めて。汗だくのそれに不思議と不快感はなく、むしろずっとこうしていたいという願望すら沸きあがってくる。  同じ男の身体なのにな、と零しながら肩を震わせる聖の背をするりと撫でて真壁は靴を脱いだ。 「さすがにいつまでもこうしてたんじゃ茹だっちゃう」 「急に賢者タイムから抜け出すなよ」 「賢者タイム」  ふはっと笑い、勝手知ったる人の家――とばかりに冷蔵庫を開けて真新しいスポーツドリンクを取り出して聖に差し出す。  ご丁寧にキャップを開けてくれている気の使いように笑みを浮かべ、礼を言って受け取る。  真壁は、いつもこうだった。何も言わず、何も聞かないままいつだって聖の欲しがる物を差し出してくれた。自分よりも、まず聖を優先してくれていた。  自らも知らぬうちに彼への気持ちが大きくなっていたのは、こういう優しさの積み重ねだろうか。  聖が喉を潤している間も、何も言わずタオルで右手と下肢をタオルでぽんぽんと拭ってくれる優しさを見せていたが、さすがにそれには顔が火を吹いた。 「乾いたら取れないよ」 「自分で出来る!」 「俺がやりたいの。じっとして」    ピシャリと言い放たれ、聖は黙るしかなかったのだが。嬉しそうに甲斐甲斐しく世話を焼く真壁に、短く息を吐いた。 「どんだけ好きなんだよ」と笑みを浮かべて言いながら。

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