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翌日、朝早くに神谷をキャンパスに呼び出した真壁と聖は鋭い瞳に射抜かれたまま微動だにしなかった。
いや、動くことなどできなかった。小さな背に怒りのオーラがちりちりと燃えている。そりゃあそうだ、昨日おとといと散々心配かけて、結局はただの痴話げんかだ。
神谷の怒りの原因が自身にあると自覚する真壁は深く頭を下げて二度目の謝罪をした。
「本当に、心配かけてごめん」
「……」
「神谷、」
「退学は」
「へ? ……わっ」
ふいと目を逸らした神谷が小さく零した言葉と、同時に目の前にぶら下がってきた退学届。それは確かに麻広に渡したはず――真壁は目を見開き手を伸ばした。
が、神谷は伸びてきた手を躱し、退学届をぐしゃりと丸めて真壁の頭の上に落とした。
「なしで、いいんだろ?」
「う、うん……」
「ったく、たかが喧嘩で姿眩まそうとすんなよめんどくさい」
「返す言葉もございません……」
中腰のままの真壁と、その背後でただじっと様子を窺っている聖。ふたりの距離感が、纏う空気が、これまでとは明らかに違う。
ずっと見てきた神谷は何があったか説明するまでもなく察したらしく、深い溜息を吐いてそれぞれの腹に一発ずつパンチを食らわせひらひらと手を振った。
「末永く爆発してろ」と。ふたりが腹を押さえて悶える姿に目もくれず。
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