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 高身長とがっしりとした体躯に、無口で無愛想だけれど実は優しいところなど、真壁はギャップもりだくさんの男らしく。陰できゃいきゃい言われることは少なくない。 (無愛想で無口なのは、ただの人見知りらしい)  そんな男の、よりによってどうしようもなく情けないところに絆されてしまって。  ふたりして、本当にどうしようもない。  ふっと笑って癖だらけで色素の薄い髪に指を巻き付け、くるくると捩ったり引っ張ったりと遊んでみる。 「もこもこしてそう」と女の子が陰からはしゃぎ見ていたのを思い出し、そっと後頭部に手を乗せてみた。 「お、おお……! もふもふ!」  もこもこというか、もふもふ。毛が柔らかいのか、その手触りはまるで動物のようだった。聖の髪が真っ黒で固く癖のないストレートのせいか、余計に触り心地がいい。まさに絶品。  しつこく撫でまわされたせいで、さすがに真壁の睫毛は震え覚醒を知らせてくる。  とろりと溶けた瞳はまだ眠たそうに何度か瞬き、けれど頭を撫でる手が気持ちいいのかすぐにその上下の瞼はくっついてしまった。 「おーい。構えー」 「……」 「聖くんは起きてっぞー。構えー」 「ふ、……何、聖くんて」  わしゃわしゃと髪をかき混ぜられ、笑いながら手を取ると、動きを止めた聖を琥珀の瞳が射抜いた。  ぴくり、と聖の肩が小さく跳ねたのは、その瞳のせいか――それとも、指先を這う真壁の舌のせいか。  声も出さずに真壁の動きに耐えていた聖は、その舌が指の股を掠めた瞬間ひと際大きく震えた。そのままベッドにのし上がった真壁は反応が良かった箇所にぐりぐりと刺激を与えると、聖を見下ろした。  頬は赤く染まり、呼吸は浅く、早い。  ――こんなにいい反応してくれるなんて。嬉しい半面不安なんですけど。 「はっ?」 「……んん、こっちの話」 「急に何、ッん」  胸中で留めておいた筈の言葉は自然と口をついて出ていたらしく、真壁は半端な笑みを浮かべて小指をかぷりと噛んだ。痛みはないその感触に、聖の肩はおもしろいくらいに跳ね、僅かに残った歯の痕をねろりと舐めると小さく息を吐き出しながら震えている。

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