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濡れた指先は少しずつ飲み込まれ、それと同時に添えられた手は力をなくしてぱたりと落ちた。
「ひじ、ひじり」
「いいから、はやく」
息は荒く、小刻みに身体は震え、大きな瞳には零れ落ちそうなほど涙に濡れているのに――聖は両手を広げ、真壁を抱きしめ息を吐いた。
肩口に触れる熱い吐息に、真壁の中で何かがふつりと切れた。
聖の身体が大きく跳ねる箇所を撫で、押しつぶし、かき交ぜて漏れ出る嬌声を真壁の首筋に顔を埋めて堪える姿に、びりびりと身体の奥底から情欲が湧き上がる。
今度こそ、今度こそ、きちんと肌を合わせたい。心は繋がってる。だから、きっと。今度こそ。
「噛んでいいから」
「ふ、……ッ」
指を引き抜き、両手で聖の肢体を抱きしめて腰を進めた。
ゆっくり、聖が焦れるほどに、ゆっくりと。一寸の隙間なくぴたりと身体が触れ合った時には、聖の呼吸は整いもせずに浅く速く繰り返され、ぼろぼろと涙が頬を伝っていた。
その涙に、心が痛むことはない。だって、視線が、真壁を包むあたたかな腕が、好きだと伝えている。
「……あー」
「な、んだよ」
「幸せ。今、すんごい、幸せ。俺」
「……そうかよ」
やわらかく微笑む真壁の瞳からぽろりと涙が落ち、聖の頬を濡らした。
ぶっきらぼうに答えた聖は手を伸ばして目尻の涙を拭ってやり、額に汗を滲ませて脚を真壁のそれに絡めた。
俺もだよ、と。小さな小さな声で囁いて。
涙と、熱い吐息と、高鳴る鼓動。すべてが甘く、ふたりの心を満たした。
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