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 大智と二人きり──  いつもと同じだけど同じじゃない、変な空気が流れていた。もしかして……と邪な期待が頭を過る。 「どうした? さっきから黙っちゃってさ。そんなに見つめられたら流石の俺でも引くぞ」  あくまでも男同士の友達、そう、ふざけているだけ。祐樹は自分を押し殺して大智に鎌をかける。緊張してうまく話せているか不安が過ぎる。そんな祐樹の不安をよそに、大智はいきなり祐樹を押し倒した。 「ちょっ? なんなの?」 「なあ、変な気分になっちゃった。どうしよう……」 「………… 」  初めて感じる大智の雄の顔。獲物を逃がしてたまるかといった顔をしているくせに、相手が男だからと困惑している。その微妙な表情がたまらなく愛おしかった。 「俺、オトコなんだけど……」 「うん、わかってる。ねえ、弄ってもいい?」  恋い焦がれた大好きな人の手が自分のセーラーの中に滑り込んでくる。祐樹はドキドキしすぎて息が苦しくなった。「ごめんな、ごめん」と何度も謝りながら祐樹の太腿から中心部までスルスルと手を伸ばしてくる大智に、わざと「マジかよ……」なんて言ってみる。友達に迫られ、しょうがなく許してやっている男友達を演じながら、祐樹は大智のやりたいようにさせてやった。  ごめん。なんて、そんなの俺のセリフだ──  大智に弄られ、完全に勃起した恥部を晒されながら祐樹は思った。大智は謝りながら夢中で自分のと祐樹のそれを合わせて扱いている。時折頬や首筋にキスをしてくるから、たまらず祐樹は唇を奪ってしまった。  ことの展開に信じられない気持ちと、やっと念願叶った嬉しい気持ちが入り混じる。近いようで遠かった大智との距離が、たった一本の紅をさしただけで一気に縮まった。祐樹のキスで恍惚な表情を見せる大智がたまらなく可愛い。 「お前って男でもいけたんだな」 「ううん、わからない。こんなの祐樹が初めて…… 綺麗な女の格好してるくせにちんこ付いてんのが凄えキタ。変な性癖開花しちゃった感じ。どうしよう俺……ごめん、こんなことしちゃって」  お互い欲を吐き出し、汚れた手のひらをティッシュで拭う。身なりを整え、祐樹は逸る気持ちを抑えながらなんてことない顔を見せる。 大智の唇に真っ赤な紅色がついているのを見て、夢じゃないんだと実感した。  大智の初めての「男」になれたのは光栄。でもきっと体だけだ。それでも構わないから、ずっとこのまま繋ぎとめておくんだと決心する。これはきっとチャンスなんだと祐樹はまた「友達」を演じた。 「ごめんな祐樹。びっくりだよな?……この事誰にも言わないでくれると嬉しいんだけど」 「え? 二人でヤラシイことしたって事? 勿論、誰にも言わねえよ。あ、ねえ、このセーラー服貰っていい? またいつでも着てやるからさ」  祐樹の言葉にこれ以上ないくらいの笑顔で大智は頷いた。

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