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その先のことを

 最近大智は彼女と上手くいっていないらしい──  朱理に「大智に女の影がある」と相談をされた。 祐樹が見る限りそんな影はない。あるとしたらそれは女なんかじゃなく自分だとほくそ笑んだ。  日に日に大智の心を占める比率が自分に向いてきているのがわかる。いつまたアレを着てくれるのか? と何度も言われた。焦らして焦らして勿体ぶる祐樹に痺れをきらして、とうとう大智は校舎裏に祐樹を呼び出した。 「なあ、今日は? 俺の家……朱理も来ねえし、な?」  壁際に追い込まれ、大智の手がそっと祐樹の手に触れる。自分を求めてこんなに切ない顔をして懇願する大智が可愛くて、祐樹はその手をぎゅっと握り返した。 「わかった……でも朱理いないんじゃあの時のメイク、できねえよ? それでもいいの?」 「……うん」  ジッと見つめる祐樹の視線に恥ずかしそうに頬を赤らめる大智に、思わず心の中でガッツポーズを決める。帰ったらあのセーラー服を持って家に行くからと約束をして、この後はどうしようかと少し浮かれて一日を過ごした。  大智の家に行くと、本当に朱理の姿はなかった。四六時中一緒にいた大智の彼女…… やっとその隙間に自分が入り込むことができたのだと、ついつい顔が綻んでしまう。  大智のいる部屋でセーラー服に着替えさせられる。その様子をジッと見つめる大智に祐樹はちょっと気まずくなった。 「なんで生着替え? ちょっとこれ、恥ずかしいんだけど……」  ニヤつく大智に文句を言うと「エロくて可愛い」と言われてしまった。もうここまでくれば大智が自分のことを好きなんだと確信できた。例えそうじゃなくても快感を知ってしまえば引き返せない。いや、引き返させてたまるかと祐樹は気持ちが引き締まる思いだった。

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