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7:お前は俺のもの
「大丈夫か?薫」
あの後、どうやら薫は気絶していたらしい。目を覚ますと、知らない部屋で由に抱き抱えられていた。愛おしそうに頭を撫でられて、嫌でも錯覚してしまう。もしかしたら、由は自分のことを好きなんじゃないかと。
だって、由は助けに来てくれた。なんでいる場所が分かったのかと、若干の疑問はあるが。それでも、助けに来てくれたのだ。
「よしさん」
「ん?」
由の名前を呼んでみた。いつもなら、軽くあしらう感じで返されるのに、今日は甘い声を出して返してくれている。
大好き。由のことが本当の本当に大好き。
その想いが、薫の中を一気に駆け抜けて。気づけば、ホロリと瞳から涙がこぼれ落ちていた。
「薫?何泣いてる」
「おれ、俺。由さんのことが、だいすき、で」
「おう」
「よしさんよりも、ずっと年下だけど、おれ、本気で」
「おう」
「ほんきなんだよ、よしさ、」
薫は由にすがりつきながら、自分の本心を話した。薫の本心を最後まで聞いた由は、参ったというような表情になった。しかし、すぐに仕方ないという感じに笑って。薫を優しく抱きしめた。
「降参だ、かおる」
「え?」
「俺も認めるよ。お前のことが好きだって」
涙を止めるかのように、薫の目尻に由は唇を寄せた。チュッと可愛いリップ音がした。いきなりのことでびっくりした薫は、ピタリと涙を止めた。
「よしさ、」
「お前のことが好き。だから俺は、お前を俺のものにする」
そう宣言した由に、薫は唇を奪われた。
初めてのキス。願っていたとおり、初めてを由に奪われた。それが嬉しくて、止まっていたはずの涙が薫の頬を濡らした。
「今日で全部、お前の初めてを奪ってやる」
「ん。うばって、由さん――――――」
柔らかな場所に押し倒されながら、薫は由の首に腕を回した。
朝。薫がゆっくりと目を覚ますと、背中を見せながら由はタバコを吸っていた。朝日に照らされる由の背中には、見事な龍が彫られている。前にちらりと、昔ヤンチャをしていた頃の名残だと聞いたことがあった。
その龍に惹かれるように、薫は手を伸ばす。指先でそっと触れれば、由が薫の方を向いた。
「起きたか」
「ん」
「身体は?どこも痛くないか」
「由さんが優しかったから、だいじょーぶ」
薫が微笑めば、由も微笑み返してくれた。
本当に、本当に由が自分のものになって、自分は由のものになったんだ。
「由さん」
「何だ、薫」
「だいすきだよ」
「俺は、愛してるぞ。かおる」
END
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